師走のこどもたち 「お正月ってなあに?」

あれは、去年のできごと。

授業でお正月を舞台とした物語を扱ったとき、一人の女の子がつぶやきました。

「……私、お正月って知らなーい。一体なあに?」


一瞬目がきょとんとしたみんなが、あわててその女の子にヒントをあげました。

「お節料理食べたりさぁ……?」

「食べない。うちはみんなで囲って鍋を食べるから」

「初詣に行ったりとか……!」

「行かないもん」

「羽子板で羽根ついたりとかさ……!」

「……なにそれ?」

言葉をどれだけ尽くしても、絵を描いたり写真を見せても、なかなか解かってもらえない「お正月」。

「そんなことしなくていいじゃん」

「めんどくさいじゃん」

「好きなものだけ食べてればいいじゃん」

「他にも楽しいことして遊べるもんね」

このやり取りを聞いていて、複雑な気分になったのは言うまでもありません。


国語で文章を読む力の礎となるのは語い力。しかし頭でっかちに勉強するばかりではなく、大半の言葉は、日常生活を通して培うものだと思います。一つの言葉の意味をわかっていても、それを論理的に説明できても、どんな様子か思い描くことが出来ないこどもたちが増えています。


モノに溢れすぎている現代。日常生活から季節感が失われつつあります。私自身とってみても、季節に対し敬意を払ってあれやこれや準備するより、手軽さや身近な娯楽で済ませた方が楽なのです。それでも、四季折々の行事については、触れられるきっかけを残してあげたいものですね。

たとえば、おせち料理を本格的に作ることが出来なくても、一品でもいいから取り入れて、その品に込められた意味を教えてあげる。そして一緒に感謝しながら食べれば、楽しい記憶と共に子供たちの心に刻み込まれます。

うちではおせち料理を作ったり予約したりしませんが(あまりおせち料理が好きじゃないというのが最たる理由なのですが)、黒豆だけは1週間前に仕込み、お雑煮と一緒に食べます。それでも十分新年の喜びを感じることが出来ます。


「お正月」という言葉の響きから感じられるのどかな新年の光景……そこに思いをはせることが出来るのは、経験者にしかできません。せっかく日本人に生まれてきたのですから、日本の四季をの移り変わりをお子様と共に楽しんでいただきたいものです。


本年も、残り少なくなりました。

ちょっぴり羽目をはずしてもまるごと教訓の一つとして、2度と来ることのない2015年の冬を存分に楽しんでくださいね。



Plumes Roses

おとなもこどもも、ハッピーに

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