八雲茶寮

クラスカで1泊したあと、バスで都立大学まで足を伸ばし、さらに徒歩で八雲茶寮に参りました。
既に3時を回っており、案内されたお部屋の大きな窓からは、青い空が夕暮れへと移り行く雅な景色を堪能することができました。
木々から零れ落ちる梅の花びらがふわふわと風にのり、遠くまで運ばれていきます。
余計なものが一切ない洗練された空間が、自然の美を一層引き立てます。
お抹茶と上生菓子をいただきました。
ケーキにはない優雅さを感じ、正体は何かと探りながら口に運んだところ、ほんのり優しい甘さの余韻だけを残し、すっと溶けて消えてしまいました。
その後運ばれてきたお茶菓子は、どれも小さいながらに存在感がありました。


ささやかで儚いけれど、ほんの一瞬だけパッと花を咲かせる。

その繊細な刹那にこそ、日本の美の真髄があるに違いありません。

そう。日本の美の強みは、たとい散ってしまったあとも、限りなく美しい思い出を残すところ。むしろ、散ってしまうからこそ、永遠に心に残るところ。

咲ききって地面に落ちてしまった梅の花びらが模様を描く様子も美しくて、しばし立ち止まっていました。

あとで気がついたのですが、いつのまにか私の頭の上にも梅の花びらやがくが降り注いでいたようで、人に言われてそっと頭に手をやると、梅の花びらがついていました。

私もまた、知らぬ間に美を身に纏っていたのですね。

ほんのりうれしくなって、スキップしながら家路につきました。

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